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ギター製作の職人技:名器が生まれる過程
音楽の世界で「名器」と呼ばれるギターには、特別な魅力があります。その美しい音色、優れた演奏性、そして時として芸術作品のような外観。しかし、こうした名器はどのようにして生まれるのでしょうか。今回は、ギター製作の職人技に焦点を当て、名器誕生の裏側にある職人たちの情熱と技術を探ってみましょう。 素材選びから始まる長い旅 名器の誕生は、適切な素材の選択から始まります。ギターの場合、表板(サウンドボード)には通常、スプルースやシダーが用いられます。これらの木材は軽量でありながら強度があり、音の伝達性に優れているためです。裏板と側板には、ローズウッドやマホガニーなどの硬木が好まれます。これらは音の反響を抑え、バランスの取れた音色を生み出します。 ネックには主にマホガニーやメイプルが使われ、指板にはエボニーやローズウッドが選ばれることが多いです。これらの木材は硬く、耐久性に優れているため、長年の使用に耐えることができます。 特に、ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)は、ギター製作において最高級の木材とされています。 ハカランダの魅力:なぜ「いい音」なのか ハカランダがギター製作に珍重される理由は、その独特の音響特性にあります: ・バランスの取れた音色: ハカランダは低音から高音まで、幅広い周波数帯域で優れた響きを持ちます。これにより、どの弦を弾いても豊かで調和のとれた音色が得られます。 ・サステイン: ハカランダは密度が高く、振動を長く保持する性質があります。これにより、音の余韻(サステイン)が長く、美しい響きが続きます。 ・倍音の豊かさ: ハカランダは複雑な倍音構造を持ち、これが音に深みと立体感を与えます。この特性により、単に大きな音ではなく、「豊かな音」が生まれるのです。 ・反応性: ハカランダは演奏者のタッチに敏感に反応します。繊細な表現から力強い演奏まで、幅広いダイナミクスを表現できます。 しかし、ハカランダは絶滅危惧種に指定されており、現在では使用が厳しく制限されています。そのため、多くの製作者は代替材を探すか、限られた在庫を大切に使用しています。一方で、この希少性が、ハカランダを使用したヴィンテージギターの価値をさらに高めているという側面もあります。 職人たちは、木材の選定に何年もの時間をかけることがあります。彼らは自ら森に足を運び、一本一本の木の特性を見極めます。木の年輪、密度、重量、そして木目のパターンなど、あらゆる要素を考慮に入れるのです。 伝統と革新の融合 ギター製作の世界では、何世紀にもわたって受け継がれてきた伝統的な技法が今でも重要な役割を果たしています。例えば、スペインの伝説的なギター製作者アントニオ・デ・トーレスの設計は、現代のクラシックギター製作の基礎となっています。...
続きを読む初めて楽器を買うとき
今回は、これから楽器を始めようと思っている方へ「初めて楽器を買う時」ということをテーマに書かせていただきます。まずは自分語り失礼します。 僕は自分のお金で初めて楽器を買ったのは小学校6年生の時にお小遣いを貯めて手に入れたブルースハープ(ハーモニカ)でした。当時はフォークソン グブーム(ゆず、コブクロ、19など)で早い友達はチラホラとギターを弾 き始めていたので「今からギターを始めてもみんなに追いつかないだろうし、何より1番になれない!」という謎のライバル心から、あえて誰もやっていなかったブルースハープに行きました。 鬼ごっこをする時もサッカーをする時も、友達と映画を見にいく時もポケッ トにはブルースハープが入っていて、学校の帰り道に友達と歩いている時もプープー吹きながら会話をしている異端児でした。 こうしていると友達の中でブルースハープが流行り始め、サッカーのパスの 合図も「プー」、ゴールを決めた時の喜びの表現も「プー」でした。みんなで集まってはプープー吹きながら遊んでいました。近所迷惑、甚だしい! 話が関係ない方向にいってしまいましたが、要するに初めて楽器を買うと異様な愛着が湧き、その後もたくさん楽器を買っているのですがこの思い出はずっと憶えているものです。 僕が楽器屋で働いていた時に「ギターを始めようと思うのですが、初心者はどれを買ったらいいですか?」という質問を時々いただいておりました。 こうした時に僕は毎回「部屋に置いてあった時に一番テンションの上がるギターがいいと思います」と伝えていました。 「この曲が弾きたいからこの曲に合うギターがいい」「好きなギタリストが使っているから」などがない限り、音は2の次、まずは見た目が一番! 「このギターかっこいい!」で選ぶのが一番いいと思っており、その方が練習も楽しくなるし、何よりギター本体に愛着が湧くので鏡の前で構えているだけで楽しいのです。 しかし、そんなこと言われても初めて楽器を選ぶ際には色々と悩むもので す。どの楽器が自分に合っているのか、どのような要素に注意すれば良いのかわからない場合もあります。 ここでは僕の考えは一旦置いておいて、初めてギターやベースを買う時の選び方のポイントについて解説します。 1.自分の興味と目標を考える自分はどの音楽が好きで、そしてどのような目標を持っているかです。 「ハードロックをやりたい!」や「おしゃれなシティポップをやりたい」な どでオススメのモデルが変わってきますので、まずは自分の好きな音楽ジャ ンルや、憧れのアーティストが使用している楽器を参考にすると良いでしょう。...
続きを読む中古楽器の魅力と選び方
中古楽器の魅力と選び方 音楽を楽しむために必要な道具である楽器。 今回は僕なりの中古楽器の魅力と念点を紹介させていただこうと思いま す。あくまで個人的な考えなので、スラーっと読んでいただく程度で満足です。 まず新品を購入するのも魅力的ですが、中古にも魅力的なところがあります。 中古楽器のメリット1.費用面でのメリット プレミアがついているもの以外は通常、新品に比べて価格が安くなっています。特にまだ新品が発売されている現行品というものは新品より安くなっていることが多いです。なので、例えば予算10万円で新品のギターを探していて気になるギターを見つけてもそれが12万円してしまう場合、中古で探してみると美品状態で10万円になっているというケースもあります。予算の範囲内で、気に入った楽器を手に入れることが中古楽器だとできます。 2.音の成熟度(ビンテージ) 電子楽器ではない生楽器などは特に、長年使用されているうちに鳴りが良く なるため、中古楽器は時間と共に独特の音を出すようになります。これは、 プレーヤーの個性を引き立てると同時に、音楽の表現力を高めるのに一役買います。いわゆる「ビンテージ楽器」というジャンルです。 何年前からがビンテージだという概念は人それぞれだと思いますが、一般的 には1960年代以前と言われているようです。しかし最近では1970年、80年代の日本製ギターを海外では「ジャパンビンテージ」と呼んでいます。 確かに1970年代でも今から50年前なのでビンテージに片足突っ込んでいるのではないかなと個人的には思います。 音に関していうと「古いから音が良い」というわけでもありません。 保管状態やメンテナンス頻度なども関わって来るので、例えば50年間押し入 れにずっと閉まってあったギターが良い音に変わっているということは可能 性として低いです。なぜなら、湿度や温度管理がされていない状態での保管 は木が痛んでいることが多く、なによりビンテージ特有の深い音になるには長年弾き込んで木を振動させてあげることが何より大切です。何年も歌っていない人がいきなり歌っても良い声で歌えないのと同じです。保管に気をつけ、弾き込んで、メンテナンスをしていく中で深みのあるサウンドは生まれます。ビンテージに価値あるのはそういった先人達の労力も含めての価値だと思っています。このビンテージサウンドは新品では中々再現することはできません。最近では機械的に木を熟成させビンテージサウンドを再現させられるような開発もされておりますが、本物と比べると正直「ビンテージ風」といったところだと僕は思っています。 ビンテージ品の価値に関して印象に残っている言葉があります。ギター好きで有名な芸人のくっきーさんがビンテージギターの魅力について「何十年も前にアメリカで作られたギタ...
続きを読む中古楽器との出会い
無知な自分が楽器部門を任された 前回は僕の自己紹介、音楽遍歴にお付き合いいただきありがとうございました。今回はなぜ中古楽器の販売を始めたのかという想いを語らせてください。 前回のバンド時代の話です。僕はバンド活動と並行して、引っ越したばかりの家から徒歩5分くらいのところにある、ネット販売型の総合リユース会社 (リサイクルショップ)で「家から近い」というだけの理由でバイトを始めました。 出勤初日に「ギターが弾けるんだったら楽器部門の査定とか動作確認とか任 せる!」といわれ、僕は焦りを感じました。というのも前回お話しをしたよ うに押尾コータローさんしか興味のなかった僕は、エレキギターの知識は皆 無で「ストラトキャスターとテレキャスターって何が違うの?」「クワガタみたいなのはSGっていうんだ」というレベルでした。そんな無知な自分が楽器部門を任されたのです。 案の定、こんな具合で担当になった(された?)ので最初は大変でした。ギターやベースに年式別のモデルがあることも、カスタムショップの存在も知らず、ましてやレリック加工なんて全くわからずお客様に「使用感が強いですねぇ」なんて平気で言ってました・・・楽器担当がこのレベルというのは、会社にもお客様にも大変申し訳ないことをしたと思っています。 しかし、この無知が功を奏したのか楽器の勉強をし、実際に触ってみたりすると全てが新鮮で、その魅力にハマっていきました。 そしてある程度の知識と経験を得た時期に「ある想い」が湧き上がりました。 この総合リユース会社は全国展開しているベンチャー企業のため日々、出品 数のノルマに追われ「効率化」ということが第一に求められるようになっていきました。 効率化を重視すると商品の選定に「利益になる物」「ならない物」という線引きがどうしても必要になってくるのです。要するに「いるもの」「いらないもの」という仕分けです。 販売方法がネットのみだったので出品するまでに以下の工数(人件費)が、かかってきます。1,商品状態を確認2,査定3,ネット掲載用の写真撮影4,商品説明5,倉庫にて保管管理6,梱包と配送手続き これだけの作業をすると、いわゆる「ジャンク品」と判断した商品は「販売 金額」と「人件費や資材費」が釣り合わなくなってきてしまうのです。(もち ろんジャンク品でも金額のつくものはジャンクコンディションとして出品しておりました。) そして、釣り合わないと判断した楽器はダンボールに詰めるだけ詰め、タダ同然の金額で回収業者に流しておりました。 思い描いていた僕の「ある想い」...
続きを読むはじめまして
音楽の楽しさを知るきっかけ はじめまして、パーパスミュージックストア代表の三井拓郎です。初ブログということで、まずは僕の自己紹介と音楽遍歴を語らせてください。 僕は東京都大田区に生まれ、2歳から神奈川県茅ヶ崎市で育ちました。僕が 音楽というものに興味を持ったきっかけは、小学生の頃に観ていた「ひらけ!ポンキッキ」です。 「懐かしい」と思われた方も多いのではないでしょうか。平日朝に放映され ていた番組で、ガチャピンとムックをはじめ、BOSEさんや安室奈美恵さんがMCを務めていた僕の中では伝説の番組です。 放送内で「機関車トーマス」や「トイレの花子さん」のコーナーがあった中で、僕はコーナー間の繋ぎに流れる音楽に釘付けになりました。 その音楽は山下達郎さんや渡辺貞夫さん、斉藤和義さんに大江千里さん、森 高千里さんなど....子どもの頃には気づかなかった豪華なアーティスト達の歌が流れていました。さらに当時は実家の近くに「すみや」があり、毎週休みの日には家族揃って CDをレンタルしに行くのが習慣で、父はフォークソング(僕の名前の拓郎 は吉田拓郎さんが由来です)、母はニューミュージックや洋楽、兄はその当 時TKブーム(小室哲哉さん)絶頂期だったこともあり、trfやglobe、安室奈美恵さんといった流行歌を好んで聴いていました。 この、ジャンルレスな音楽に触れる経験が音楽の楽しさを知るきっかけとなりましたね。 話は脱線しますが、僕が小学生の時はまだカセットテープが主流でCDから の録音には難儀しましたね。A面からB面に切り替わるときに曲が切れてしま うのが嫌で何回もタイミング見計らって録音し直したり、テンションが上が って録音中にジャンプをすると振動でCDが音飛びし、また録音し直したりと、、、とにかく録音するだけでも大変だった記憶があります。 話を戻しまして、僕は小学生の頃から今もずっと玉置浩二さんが大好きで、 初めて買ったCDは玉置さんの「田園」、次に買ったのがV6の「愛なんだ」(玉置浩二さん作曲)でした。もう25年以上のファンです。60歳を過ぎてもNo1.ボーカリストとして君臨する姿は尊敬しかないです。 ご自身も「死ぬまで歌う」と宣言されているのでお身体に気をつけながらゆっくり活動して頂きたいです。...
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