無知な自分が楽器部門を任された
前回は僕の自己紹介、音楽遍歴にお付き合いいただきありがとうございました。
今回はなぜ中古楽器の販売を始めたのかという想いを語らせてください。
前回のバンド時代の話です。僕はバンド活動と並行して、引っ越したばかりの家から徒歩5分くらいのところにある、ネット販売型の総合リユース会社 (リサイクルショップ)で「家から近い」というだけの理由でバイトを始めました。
出勤初日に「ギターが弾けるんだったら楽器部門の査定とか動作確認とか任 せる!」といわれ、僕は焦りを感じました。
というのも前回お話しをしたよ うに押尾コータローさんしか興味のなかった僕は、エレキギターの知識は皆 無で「ストラトキャスターとテレキャスターって何が違うの?」「クワガタみたいなのはSGっていうんだ」というレベルでした。
そんな無知な自分が楽器部門を任されたのです。
案の定、こんな具合で担当になった(された?)ので最初は大変でした。
ギターやベースに年式別のモデルがあることも、カスタムショップの存在も知らず、ましてやレリック加工なんて全くわからずお客様に「使用感が強いですねぇ」なんて平気で言ってました・・・楽器担当がこのレベルというのは、会社にもお客様にも大変申し訳ないことをしたと思っています。
しかし、この無知が功を奏したのか楽器の勉強をし、実際に触ってみたりすると全てが新鮮で、その魅力にハマっていきました。 そしてある程度の知識と経験を得た時期に「ある想い」が湧き上がりました。
この総合リユース会社は全国展開しているベンチャー企業のため日々、出品 数のノルマに追われ「効率化」ということが第一に求められるようになって
いきました。 効率化を重視すると商品の選定に「利益になる物」「ならない物」という線引きがどうしても必要になってくるのです。
要するに「いるもの」「いらないもの」という仕分けです。 販売方法がネットのみだったので出品するまでに以下の工数(人件費)が、かかってきます。
1,商品状態を確認
2,査定
3,ネット掲載用の写真撮影
4,商品説明
5,倉庫にて保管管理
6,梱包と配送手続き
これだけの作業をすると、いわゆる「ジャンク品」と判断した商品は「販売 金額」と「人件費や資材費」が釣り合わなくなってきてしまうのです。(もち ろんジャンク品でも金額のつくものはジャンクコンディションとして出品しておりました。) そして、釣り合わないと判断した楽器はダンボールに詰めるだけ詰め、タダ同然の金額で回収業者に流しておりました。
思い描いていた僕の「ある想い」
大手の会社なら必然的な働き方でしたが、僕は「ちゃんと直してあげれば、きっと欲しい人に届くはずだ」という想いが湧いてきました。
これが先ほどお伝えした「ある想い」です。 そこで査定の経験値ばかり蓄積させていた僕はリペアの勉強をし始め、会社で初めての試みとして「修理をする」ということを実践してみました。
すると、今までタダ同然で回収されていた楽器たちが利益の出る価格帯で売 れていき、「利益を出したい会社」と「その楽器を求めていたお客様」とが繋がり、お互いWin-Winな関係性が成り立つ仕組みが出来てきたのです。
さらに、今まで行ってこなかった楽器の清掃やメンテナンスも取り入れ、弦 を張り替えて、ボディやフレットを磨き、弦高調整などを行い楽器店に近いクオリティで出品をするようになりました。
その結果、楽器部門は例年の約1.8倍の売り上げを達成することができました。 これはまさに、思い描いていた僕の「ある想い」がしっかりと成果となり体験で
きた出来事でした。
例えば、拾われたペットを里親にお渡しする際には、そのままの状態でお渡しす るのではなく、お風呂に入れ、ブラッシングをし、爪を切ってあげて引き渡すのと似たような気持ちです。「モノとペットを一緒にするな」と言われそうですが、僕にとって楽器も同じく、ボロボロの楽器をそのままお渡しするのではなく、できる限り良いコンディ ションにしてお渡しをするという使命感のようなものを勝手に背負って働いておりました。(まあ、バイトなんですが笑)
こうして自信のついた僕は、さらなるステップアップを求めて総合リユースの楽
器部門から楽器専門店で働くことにしました。 楽器店では自分で勉強しただけでは知り得なかった知識やリペア技術を学び、毎日が充実した日々でした。
そして、次のステップとして自分の考えや行動を直接反映させられるショップを 作りたいという想いで、このPURPOSEMusicStore(パーパスミュージックストア)を立ち上げました。
長くなりましたが、このショップに込めた想いなどを知って頂きたくこのブログを書かせて頂きました。最後まで読んでいただきありがとうございました。