今回は、有名ミュージシャンが愛用した中古楽器たちと、その魅力や逸話について探っていきます。
デヴィッド・ギルモアと「ブラック・ストラト」
デヴィッド・ギルモアは、ピンク・フロイドのギタリストとして知られ、その独特のサウンドと演奏スタイルで多くのファンを魅了してきました。彼が愛用した「ブラック・ストラト」と呼ばれるフェンダー・ストラトキャスターは、特に有名です。
魅力と逸話
- 購入の経緯: ギルモアは1970年にこの中古のストラトキャスターを購入しました。当時の価格はわずか数百ドルでしたが、彼の手に渡ることでその価値は飛躍的に上昇しました。
- 音色の特徴: ブラック・ストラトは、その豊かなトーンと独特のサステインで知られています。ギルモアの名曲「コンフォタブリー・ナム」や「シャイン・オン・ユー・クレイジー・ダイアモンド」など、多くのヒット曲で使用され、その音色はファンの心に深く刻まれています。
- オークションでの高値: 2019年、ギルモアは慈善活動の一環としてこのギターをオークションに出品し、約397万5千ドル(約4億2600万円)で落札されました。これは中古楽器の価値がどれほど高まるかを示す一例です。
ジミ・ヘンドリックスと「ウッドストック・ストラト」
ジミ・ヘンドリックスは、エレクトリックギターの革命児として知られ、その斬新な演奏スタイルとサウンドで音楽界に多大な影響を与えました。彼が1969年のウッドストック・フェスティバルで使用した白いフェンダー・ストラトキャスターは、特に有名です。
魅力と逸話
- ウッドストックでの伝説的なパフォーマンス: ヘンドリックスは、このギターで「アメリカ国歌」を演奏し、その斬新なアレンジとパフォーマンスは音楽史に残る名シーンとなりました。
- ギターのカスタマイズ: ヘンドリックスは左利きでありながら、右利き用のギターを逆さまにして弾くスタイルを採用していました。この独特のスタイルが、彼のサウンドに独自のニュアンスを加えていました。
- 後世への影響: ウッドストック・ストラトは、ヘンドリックスの象徴として多くのギタリストに影響を与え、その後も数多くのミュージシャンが同様のスタイルを模倣しました。
ジョン・レノンと「リッケンバッカー325」
ビートルズのジョン・レノンは、その音楽性とカリスマ性で世界中のファンを魅了しました。彼が愛用したリッケンバッカー325は、ビートルズ初期のサウンドを象徴する楽器として知られています。
魅力と逸話
- 購入の背景: レノンは1960年初頭、ハンブルクでの演奏中にこのギターを購入しました。当時のリッケンバッカーはまだ一般的ではなく、彼の選択は非常に先見の明がありました。
- ビートルズのサウンド: リッケンバッカー325のシャープでクリアな音色は、ビートルズ初期の楽曲に独特の個性を与えました。「アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド」や「プリーズ・プリーズ・ミー」など、多くのヒット曲でその音色が聴かれます。
- アイコンとしての存在: レノンのリッケンバッカーは、ビートルズの象徴として多くのファンに愛され続けており、現在でもそのレプリカモデルが人気を博しています。
ボブ・ディランと「マーティン D-28」
フォークロックの巨匠ボブ・ディランは、アコースティックギターの名手としても知られています。彼が愛用したマーティン D-28は、その豊かな音色と耐久性で多くのミュージシャンに支持されています。魅力と逸話
- 歴史的なパフォーマンス: ディランは1960年代半ば、フォークからエレクトリックへの転向期にこのギターを使用しました。特に1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでのパフォーマンスは、音楽史に残る重要な瞬間でした。
- 音色の特徴: マーティン D-28は、その深みのあるリッチな音色で知られ、ディランの歌声と絶妙にマッチしました。彼の名曲「風に吹かれて」や「時代は変わる」などでその音色が聴かれます。
- 後世への影響: ディランの影響で、多くのフォークミュージシャンがマーティン D-28を選ぶようになり、その人気は現在も衰えることがありません。