ギターを演奏する上で、サウンドの質は極めて重要です。そして、そのサウンドを大きく左右する要素の一つが、ピックアップの高さです。多くのギタリストがこの調整の重要性を見落としがちですが、適切に設定することで、楽器の潜在能力を最大限に引き出すことができます。
ピックアップの仕組みと高さの影響
ピックアップは、弦の振動を電気信号に変換する装置です。その仕組みは、磁石(ポールピース)の周りに巻かれたコイルによる電磁誘導に基づいています。
弦が振動すると、磁界が変化し、コイルに電流が誘導されます。この電流がアンプを通して音として出力されるのです。
ピックアップの高さを調整することは、実質的に弦との距離を変えることを意味します。この距離が変わると、以下のような影響があります。
弦に近づけた場合
・音が明るくシャープになる傾向があります。
弦から遠ざけた場合
SN比(シグナル・ノイズ比)
ピックアップを弦に近づけることで、SN比が改善される可能性があります。
ノイズレベルは距離に関係なくほぼ一定ですが、シグナルレベルは距離が近いほど強くなります。
結果として、ピックアップを弦に近づけることで、相対的にノイズが減少したように感じられます。
最適な高さを見つける
ギターの最適なピックアップ高さは、楽器の特性やプレイヤーの好みによって異なりますが、一般的なガイドラインとして以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
最低限の距離:最終フレットを押さえた状態で、ポールピースと弦の間に最低でも1.5mmから2.0mmの間隔を設けます。これより近づけすぎると、弦の振動に悪影響を与える可能性があります。
バランス調整:ストラトキャスターを例にとると、以下のような設定が一つの目安となります。
ブリッジピックアップ:1弦側2.0mm、6弦側2.5mm
ミドルピックアップ:1弦側2.3mm、6弦側2.8mm
ネックピックアップ:1弦側2.5mm、6弦側3.0mm
楽器の特性に応じた調整:パワーの強いハムバッカーの場合は、シングルコイルよりも若干遠ざけるのが一般的です。
例えば、ハムバッカーの場合、1弦側1.5mm、6弦側2.0mmくらいから始めて調整していきます。
プレイスタイルに合わせた調整
ギターのピックアップ高さ調整は、プレイヤーの演奏スタイルや求めるサウンドによっても変わってきます。
クリーンサウンドを重視するプレイヤー:ピックアップを弦から少し遠ざけることで、よりマイルドで均一な音色を得られます。これは特にジャズやブルースのクリーントーンに適しています。
ダイナミックな表現を求めるプレイヤー:ピックアップを弦に近づけることで、ピッキングの強弱がより鮮明に出力されます。ロックやブルースのリードギターに適しています。
ハイゲインサウンドを好むプレイヤー:ディストーションを多用する場合、ピックアップを少し低めに設定することで、ノイズを抑えつつパワフルな音を得られます。
バランスの取れたサウンドを求めるプレイヤー:6弦側から1弦側にかけて若干角度をつけて調整することで、低音弦と高音弦のバランスを取ることができます。
まとめ
ピックアップの高さ調整は、単にボリュームを変えるだけでなく、音質、SN比、演奏性、そして各弦のバランスにも影響を与えます。しかし、その効果は微妙であり、個人の好みや演奏スタイルによって最適な設定が異なります。
最終的には、実際に音を聴きながら、好みの音質と弾きやすさのバランスを取りつつ調整することが重要です2。また、定期的にチェックし、必要に応じて再調整することで、常に最適なパフォーマンスを維持することができます。